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特別展「没後40年 幻の画家 不染鉄展」9/9-11/5


開催要項 特別展「没後40年 幻の画家 不染鉄展」

Tetsu Fusen: A Retrospective – 40th Anniversary of His Death

1  概  要:

日本画家・不染鉄(ふせん・てつ 1891-1976)の没後40年を記念して、21年ぶりとなる回顧展「没後40年 幻の画家 不染鉄展」を開催します。

明治24(1891)年東京・小石川で生まれた不染は、画家を志して日本画を学び、大正7(1918)年京都市立絵画専門学校(現・京都市立芸術大学)に入学します。在学中に帝展で初入選を果たし、同校を首席で卒業するなど、一時は華々しい活躍を見せますが、戦後は画壇を離れ、奈良で飄々と作画活動を続けました。

伊豆大島から京都、奈良へと各地を転々として過ごした経歴や、細密に描き込まれた富士山の絵をはじめとする独特の作風などから、これまで異色の画家とされてきた不染ですが、その画業には未だ不明な点も多い「幻の画家」です。

本展では、代表作や新発見の作品を含む絵画、焼物、絵葉書など約180件を展示し、詩情溢れる初期の作品から、「海」を主題として新たな画境を拓いた戦後、そして晩年の心象風景に至るまで、およそ60年に及ぶ画家としての足跡をたどり、その魅力と特質に迫ります。

展示構成:

Ⅰ 郷愁の家

大正3(1914)年日本美術院研究会員となり、本格的に絵を学び始めた不染は、当時流行していた南画風のスタイルを学び、民家を主題とした詩情あふれる初期の作風を築きました。京都市立絵画専門学校在学中の大正8(1919)年には、かやぶき屋根の家を描いた作品が帝展で初入選を果たしますが、「家」というモティーフは、家族や故郷、人間の生活や生命、そして不染自身をも表す題材として、晩年に至るまで描かれ続けます。

Ⅱ 憧憬の山水

自然を愛し、旅に憧れた不染は、各地で目にした自然風景も絵の主題として取り上げています。昭和10年代に入ると、中国絵画や古典絵画などの伝統的な山水図にも学びながら、旅行で訪れた長野県の自然風景や、一時生活した伊豆大島や奈良などの景色をもとに、水墨による山水図も数多く手がけました。また、昭和16(1941)年には、南画団体の大東南宗院の展覧会に招待出品しており、南画への関心を深めていた様子が見て取れます。

Ⅲ聖なる塔・富士

不染は戦後、奈良正教中学校(後、奈良正教高等学校)の理事長兼校長となり、奈良での生活を再開しました。この時期より盛んに描かれ始めたのが、薬師寺東塔をはじめとする奈良の寺院建築や富士山を主題とした作品です。戦前によく描いた水墨を主体とした作品から、徐々に彩色や金彩を施して象徴的に表現されるようになるこれらの作品には、静謐な雰囲気が漂い、平和への感謝の思いと祈りの心が込められているかのようです。

Ⅳ孤高の海

昭和27(1952)年に教育者としての職を退き、昭和33(1958)年には家族を失った不染は、孤独の中で、思い出の伊豆大島に着想を得た一連の海の絵を手がけ始めます。夕凪の美しい光景から、蓬莱山を思わせる切り立った岩山、海岸線に迫り出すようにして軒を連ねる漁村、そして大海原で風に身を任せる帆船など、卓越した水墨画法によって描き出されたこれらの作品には、不染の様々な心情が投影されています。

Ⅴ回想の風景

晩年、奈良公園にほど近い邸宅の一隅にあばら家を建てて生活していた不染は、その人柄や作品を慕う人々との温かい交流の中から作品を生み出してゆきました。奈良の伝統工芸作家たちとの共同作品や、親しい人たちに宛てて送った絵葉書、銀杏の木や古びたお堂などの思い出の風景に自身の心情を重ねて描いた心象風景など、その心を託した多くの作品を残し、昭和51(1976)年に84歳でこの世を去りました。

2  主    催:奈良県立美術館・産経新聞社

3 協   力:ヤマトロジスティクス

4  後  援:NHK奈良放送局(予定)、奈良テレビ放送株式会社、株式会社奈良新聞社、西日本旅客鉄道株式会社、近畿日本鉄道株式会社、阪神電気鉄道株式会社、奈良交通株式会社、奈良県商工会議所連合会、奈良県商工会連合会、奈良県中小企業団体中央会、株式会社南都銀行、(一社)日本旅行業協会、(一社)全国旅行業協会、(一社)国際観光日本レストラン協会、(一財)奈良県ビジターズビューロー、(公社)奈良市観光協会、奈良県旅館・ホテル生活衛生同業組合

5  会    場:奈良県立美術館

〒630-8213 奈良市登大路町10-6 TEL 0742-23-3968 FAX 0742-22-7032

6  会   期:平成29年(2017)9/9(土)~11/5(日)

7 休 館 日:9/11(月)19(火)25(月)10/2(月)10(火)16(月)

8  開館時間:午前9時~午後5時まで(入館は午後4時30分まで)

9  関 連 事 業:

  • 鼎談「不染鉄を語る」

講師:星野桂三氏(星野画廊オーナー)、尾﨑二郎氏(整形外科医)

9月17日(日)午後2時から午後3時30分 レクチャールーム

定員80人(要観覧券 12時30分受付開始・先着順)

  • 対談「不染鉄の世界」

講師:冨田 章氏(東京ステーションギャラリー 館長)

10月8日(日)午後2時から午後3時30分 レクチャールーム

定員80人(要観覧券 12時30分受付開始・先着順)

  • 講座「不染鉄作品の魅力」

講師:当館学芸員

10月1日(日)午後2時から午後3時30分 レクチャールームにて

定員80人(要観覧券 12時30分受付開始・先着順)

  • 学芸員によるギャラリー・トーク

9月23日(土)、10月21日(土)、11月4日(土)

午後2時から午後3時頃まで 展示室にて(要観覧券)

  • ミュージアムコンサート レクチャールーム 他にて
  • ワークショップ「絵葉書を描こう!」1階無料休憩室にて随時

9   観 覧 料:一般800(600)円 高・大学生600(400)円 中・小生400(200)円

※(  )内は20名以上の団体料金

※身体障害者手帳・療育手帳・精神障がい者保健福祉手帳をお持の

方と介助の方1人、外国人観光客・留学生は無料。

10  本件に関する問い合わせ先:奈良県立美術館 学芸課 松川綾子

〒630-8213 奈良市登大路町10-6

TEL 0742-23-3968 FAX 0742-22-7032

11 同時開催:安堵町 黒滝村 岐阜県高山市 市町村交流 連携展示

「世界に魅せる匠の技と心 奈良と飛騨高山の極人」

※当館ギャラリー観覧無料

日本遺産認定の日本三大美林「吉野杉の里」と「飛騨の匠」の技術交流、

「日本の陶芸の巨匠 富本謙吉」とゆかりの「飛騨高山」の陶芸交流などを紹介します。※詳細は各市町村へお問い合わせください。