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メンデルスゾーン「厳格なる変奏曲」


メンデルスゾーンは ピアノ曲 無言歌集「春の歌」「ヴェネツィアの舟歌」「ロンド・カプリチオーソ」など 傑作と評される作品が多い。演奏機会は 少なめだが ロマン派の音楽を組む代表的な曲の一つ。(5月13日 更新版)

そして この「厳格なる変奏曲」をあげたい。難易度が高いこの作品。変奏曲というと モーツァルト「きらきら星変奏曲」ハイドン「アンダンテと変奏曲 ヘ短調」をつくっている。
ベートーヴェンは、変奏曲を得意とし 後世の作曲家に影響を与えた。例えば ピアノソナタ30番 最終楽章 32番 第2楽章 ディアベリ変奏曲がそうである。明らかに様相が違う、ベートーヴェンの「ディアベリ変奏曲」。バッハの「ゴールドベルク変奏曲」と双璧をなす傑作であるが 親しみの雰囲気は少なく 変奏曲の巨人作品と言わざるを得ないのが残念である。シューベルトの「ディアベリのワルツによる変奏曲」は 私は好きである。あまり知られてないのだけど。ここで「変奏曲」と「練習曲」について考えてみたい。

音楽的な変奏曲のものと 動機活用した演奏技術向上の性質のものがみうけられる。バッハのゴールドベルク変奏曲、ヴァイオリンのためにシャコンヌ二短調、オルガンのためのパッサカリアハ短調なども 一種の変奏曲のようだ。ヘンデルの有名な チェンバロ組曲「調子のよい鍛冶屋」も終曲が変奏曲。パガニーニの「24の奇想曲」も変奏曲、あらゆるテクニック取得を目的とした練習曲のよう。変奏曲形式は 同じ動機を展開する 自由な形式で 作曲家も挙って使用した。シューマンは「交響的練習曲」に変奏曲形式を扱った。

シューベルト ショパン シューマン リスト ブラームス の変奏曲。

シューベルト 4つの即興曲の作品142 D935 から第3番変ロ長調

ショパン 「パガニーニの思い出」変奏曲 原曲 パガニーニ「ヴェネツィアの謝肉祭」

シューマン アベッグ変奏曲作品1 交響的練習曲 主題と12の変奏

リスト パガニーニの主題による大練習曲 第6曲 主題と変奏

ブラームス パガニーニの主題による変奏曲 弦楽六重奏曲第1番2楽章(ブラームスのピアノ編曲) など・・・

「厳格なる変奏曲」(げんかくなるへんそうきょく、フランス語: Variations sérieuses)ニ短調作品54は、メンデルスゾーンが1841年に作曲したピアノ独奏曲。ボンのベートーヴェン記念像の建立資金を捻出するためにウィーンの出版社ピエトロ・メケッティにより企画されたピアノ曲集『ベートーヴェン・アルバム』のために作曲された。

この曲を聴くと バッハの影響を受けていることや ベートーヴェンの形式を意識していることもうかがえる。和声はシューマンに近い。トレモロ奏法はリストの影響だろうか。主題と17の変奏で構成され コーダで締めくくられる。

楽譜をみると 第12変奏 第16変奏から17変奏 コーダが難しく感じられる。何よりも 緊張感の持続。休符があるようで ほとんど休みなく走句が駆け抜ける。メンデルスゾーン独特の 速く 軽く レジェロなモーションを感じ取りながら。19世紀のモーツァルトと言われた「メンデルスゾーン」

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聴いた後、余韻が残った。メンデルスゾーン得意の早い走句が特徴。ピアノ協奏曲1番の最終楽章もそうであるように。プレスト(倍の速さで)しかも(レジェッロ)軽く弾くような指示。巨匠 シプリアン・カツァリス氏が解釈などをレクチャしている。