楽譜を見ると、その時代の音楽がわかりやすい。
バッハの楽譜(平均律2巻)を見ると、スタッカートの表示がほとんどない。例外として 強いアクセントの表示がある。おそらく フレーズの終わりが 弱くならないようにの意味だと思うのだが。それから 主旋律がfに対し 対旋律がpになることで 掛け合いを奏でる。音の高さが上がっていくフレーズは、クレッシェンドするなど楽譜に書かれていないことを汲み取って演奏する。当時の音楽は 一度演奏されたものが再現されるのでなく 装飾を自由につけることが常時行われていた。
モーツァルトの楽譜(ピアノソナタ後期・ピアノコンチェルト)は、まずアクセントがほとんどない。スタッカートはあるが。そして 注目は sf(スフォルツァンド)軽やかで激しくないのだが 途中終始するところなどで出てくる。強さを押し捲るような音楽はないと思う。少しずつのクレッシェンドが出てくるくらい。
ベートーヴェンの楽譜(ピアノソナタ前期)は、急なデクレッシェンド・オクターブ奏法・装飾音でないトリラーが出ている。この頃 楽器が発達したのか、ベートーヴェンが新時代の音楽設計をしたのだ。ピアノソナタにカデンツァを挿入した。またシンフォニックで使われている4楽章ソナタ形式を取り入れた。音域は高音が へ音まで。もう1オクターブ上がるには、ヴァルトシュタイン・熱情ソナタで実現する。神に対する敬虔さが表現記号に現れる後期ソナタ。音楽が劇的に変わった。
ショパンのソナタ1番 1828年 18歳の作品では 音域が最高音Fに近づき、頻繁に高音が出ている。リズムに絡む装飾音・連符が多い。
メトロノームの指定や運指まで記入されている。音楽を忠実に再現するための配慮が行き届き 今日に至っている。
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