バッハ/平均律クラヴィア曲集第1巻第22番変ロ短調BWV867「前奏曲」

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バッハは1100曲近くの曲を残している。オペラ以外のすべてのジャンルと言っていいほど 広範囲にわたる。それは、バッハ自身が優れたオルガン奏者でかつヴァイオリン奏者であった事。宮廷楽長では、週に一度は、典礼行事にあわせて、20分ほどのカンタータを作曲し、宮廷オーケストラを指導し、披露しなければならない。それを4年ほどぶっ通しでやっていたのである。
4年で200曲以上。もちろん、それ以外の作曲もあるわけだろうし。創作力は凄まじいものがある。
特に印象に残る曲は、マタイ受難曲とヨハネ受難曲のアリアだが。その主たるものはコラールで、バッハは古来で使われていた1601年ハスラーの短い一節を親しみやすく印象深くするテーマであるコラールとして節目に5度、登場させた。それらは調を変えているが歌詞も変わり例えば第63曲のO Haupt voll Blut und Wunden「おお、血潮したたる」という重要な場面で使用された。現在は、「おお、血と涙にまみれた御頭」讃美歌としても使用されている。
第39曲Erbarme dich, mein Gott 憐れみ給え、わが神よ
第49曲aus liebe will mein Heiland sterben愛ゆえに主は死のうとしておられます
第65曲Mache dich, mein Herze, reinわが心よ、おのれを浄めよ
ヨハネ受難曲
第35曲Zerfließe, mein Herze, in Fluten der Zähren, 融けて流れよ、わが心よ、涙溢れる潮の中に
第39曲Ruht wohl, ihr heiligen Gebeine憩え,安らけく,聖なる御躯よ
それ以外にもたくさんあり、無伴奏ヴァイオリンパルティータ第2番ニ短調BWV1004「シャコンヌ」
そして、平均律クラヴィア曲集第1巻22番変ロ短調「前奏曲」
宗教曲ではなく「世俗曲」チェンバロための学習曲として書かれたものであり様々な様式の楽曲があるが、バッハの崇高さを示している。このフラット5つの調は当時は、大変珍しい。そして5声のフーガ。晩年の「ミサ曲ロ短調」のキリエをも思わせる。
その前奏曲は「祈り」「叫び」不協和音の痛切な響きと美しさ。天上に捧げる音楽。この曲を弾くたびに、心が洗われる。
実は、2巻の第22番変ロ短調も私は好むところで、前奏曲の寂しさとフーガの堂々たる作品。これもどこかで弾きたいと思っている。超越したバッハの傑作の一つだと言いたい。
バッハの集大成のひとつ未完の「フーガの技法」に反行形【インヴァージョン】が出てくるが、それを駆使した特筆するもの。主旋律が上昇するのに、応答が半音階で下降している。実験的でなく、楽曲として優れている。決然たるテーマでありながら和声の半音階で雰囲気を作っているところ。調性は変ロ短調で悲観的だが、この曲のいいところは、変二長調に転調している時間が長く、それが柔和に処理されている事。安らぎを与える。応答のD-Es-Dの音型がいたるどころで使われ、縦の線でなく、横の線の滑らかな曲調の絶妙な弛緩もあり、最後の半行形を使うためにこのフーガがあったのかと謎解きをしてしまう。いや、そうでなく一つの音形が展開していき、解決に向い時間が進むのだが。そういう音楽なのである。
プロフィール
- ☆PCPAL代表取締役 日本アコーディオン協会理事 FMはしもとパーソナリティー ピアノテクニシャン なにわシャンソンコンクール審査員 市ボランティアサークル連絡協議会副会長 TOPページへnishikunnのページ
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