正暦寺とピアノ


FavoriteLoadingお気に入りに追加

正暦寺とピアノ

先日、TVで イーヴォ・ポゴレリッチのピアノ演奏の番組があった。
http://www4.nhk.or.jp/c-club/x/2018-03-26/10/13297/1894421/

どこかでみた庭園。そして、蓮華座、仏像・・・孔雀明王ではないか。
間違いなく 正暦寺福寿院客殿だ。奈良市の静かなところに佇む古刹。

福寿院客殿内の仏像は 撮影禁止なので ポストカードを持っている。
孔雀明王は、国内に数例のみ存在し、仏画が高野山にあるが 仏像としては こちらが唯一存在する。
孔雀は 毒を食べてくれる貴重な動物。神の使いとされる。

ポゴレリッチのピアノと孔雀明王 夜のお寺と庭園。何か通ずるものがある。

それは「静寂」。ポゴレリッチも何かを悟った演奏だったように思う。

ポゴレリッチは ショパンコンクール1980の 予選で落選した。これに対し、審査員のマルタ・アルゲリッチ氏が 審査を放棄し
物議を醸した。作曲家の指示に対し忠実に演奏するのが筋ではあるが一方、解釈を加えて演奏する事の意義を問うたのは
大きな出来事であった。楽譜の版に記述されていない解釈を加えるのは、いつの時代でも云われたことであった。
ただ、普段聴きなれている演奏とあまりに違いすぎると 受け入れられるのか。
また、個性を表出する事は良くないのか。

シューマンの交響曲第4番の楽譜に対し ブラームスが校訂し クララに断りなく出版した事。
(クララとブラームスが喧嘩となったが 後にブラームスが謝り 不仲は修復された。)
マーラーが 交響曲第3番のオーケストレーションを変更し 指揮した事・・・
ベートーヴェンの第九でも 80分の演奏もあれば 65分をきる演奏もある。

クラシック音楽では、作曲家が著作権の絶対的権限を有しており、一音たりとも変更する事が許されない。
厳格に対応しているところがほとんど。しかしながら 作曲家自身に誤記または解釈不能の記述が散見することや
作曲法や管弦楽法が未熟であると感じられた場合は、演奏効果を高めるために 指揮者・演奏者が解釈を加えることも一理あると思う。

全く その曲のエッセンスを失うほどの決定的な変更なのかどうかが微妙な問題となっている。

 

 

プロフィール

Avatar photo
nishikunn
☆PCPAL代表取締役 日本アコーディオン協会理事 FMはしもとパーソナリティー  ピアノテクニシャン  なにわシャンソンコンクール審査員 市ボランティアサークル連絡協議会副会長 TOPページへnishikunnのページ