2023.5.6「東京バッハ合唱団」演奏会のこと


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2023.5.6「東京バッハ合唱団」第122回定期演奏会のこと

カンタータが12番「泣き、歎き、憂い、迷い」、22番「イェス 十二弟子呼びて言いたもう」、昇天祭オラトリオ「頌めよ 神のみ国」(11番)
川口リリア音楽ホール

合唱団創立は1960年というから61年になるという。留学先のストラスブールから帰国し早々、大村恵美子氏が創設した。以来、192曲におよぶバッハのカンタータ他、宗教的合唱作品の全曲演奏を繰り返し行ってきた。しかもドイツ語詞を日本語に訳し上演する。1曲では20分~30分のものもあれば、3時間半におよぶものもあり、1回に3曲、年2回としても何十年もかかる偉業。バッハほど研究対象にされている音楽家はいない。御年91歳。その指揮ぶりは、驚きである。受難は、宗教的な哀しみが繊細に描かれ、祝祭や賛美はドラマティックで且つおおらかである。カンタータ第12番のシンフォニアでは、バッハの世界が感動的で涙が出そうになった。もちろん、その後の合唱、コラール、レチタティーヴォ、アリアも。

積極的にバッハを学ぶレクチャも定期的に行われている。シングインバッハという講座が5月20日に予定されている。

教会のために書いたバッハの音楽が、日本の教会で歌われないのはなぜだろう。これは、適当な訳詞がなかったからではないか。バッハの音楽を狭き門としていたからだ。
バッハの素晴らしいコラールを合唱できたらどんなによいものか。日本の讃美歌集にバッハの作品はあまりに少なすぎる。
また、バッハを演奏する人はクリスチャンなのか?そう思われるかもしれない。確かにバッハの作品はルター教会と縁の切れないものであるが、
バッハがルター派プロテスタントの宗教的作品のみ作曲ではなく、ラテン語ミサなどカトリックの曲を作曲している事から。広い視点を持って考察すべき。
日本で、クリスチャンの演奏家は一部であり、一般の音楽家が多いです。バッハには宗教的作品と同じくらい世俗曲が多く親しまれているのです。
固定観念から踏み出さなければならないと思う。

本日の演奏会は「日本語」。曲の意味がわかりやすい。原語のわからない聴衆に、歌詞と音楽の意味を感じとりやすくするための作業はもっと評価されるべきである。
大村恵美子氏による日本語版バッハ・カンタータ楽譜全集プロジェクトの進行を喜びたいと思う。すでに全曲192曲の上演用楽譜を完成させているというから。

 

 

プロフィール

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nishikunn
☆PCPAL代表取締役 日本アコーディオン協会理事 FMはしもとパーソナリティー  ピアノテクニシャン  なにわシャンソンコンクール審査員 市ボランティアサークル連絡協議会副会長 TOPページへnishikunnのページ