フランク/ヴァイオリンソナタイ長調(1886)


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フランク/ヴァイオリンソナタイ長調(1886)

セザール・フランク(1822-90)はベルギーの作曲家、フランスに帰化した。国民音楽協会に入り、室内楽などの振興につとめた。オルガン奏者でもあり、サン=クロチルド教会のオルガニストをつとめた。代表作としては、コラール第3番(オルガン)、前奏曲、コラールとフーガ、前奏曲、変奏曲とフーガ(ピアノ)、ヴァイオリンソナタ、交響詩「プシュケ」など。ピアノ協奏曲「鬼神」はなかなか演奏されない。実は、交響詩の分野を開拓したのが、フランクとリストである。後にスメタナやドヴォルザークが交響詩を発表する。
彼は、半音楽進行を多用し転調で彩ったが、楽曲の印象を強める「循環形式」を効果的に使った。これはブラームスのクラリネット五重奏曲第4楽章など循環形式と言えないまでも、関連性がみられ、聴き手の印象を強くし心を鷲掴みにする。私は「前奏曲、コラールとフーガ」の情熱さがよくてピアノを弾いていました。ヴィスコンティ監督の「熊座の淡い星影」(1965)で使用された。
また、「前奏曲、フーガと変奏曲」は中島みゆきの「愛していると云ってくれ」のA-1「元気ですか」の朗読作品でBGMとして坂本龍一の演奏で収録。尚、「三年B組金八先生」で加藤が逮捕される場面、B-4の「世情」とこの曲がBGMとして登場し、強烈な印象を受けた。

ヴァイオリンの鬼才 ウジューヌ・イザイの結婚の祝いとして 63歳のフランクが28歳のイザイに贈ったもの。
ヴァイオリンソナタは1曲のみなので、この前段階としてフランツ・リストとマリー=ダグー伯爵夫人との間にできたコジマ・フォン・ビューローのために作曲される予定であったが実現しなかった。コジマ・フォン・ビューローは、チャイコフスキーのピアノ協奏曲を初演した大指揮者ハンス・フォン・ビューローと結婚したが、後にリヒャルト・ワーグナーの妻となる。

ここで大切なのは、ヴァイオリンの中での音のぶつかり「協和的な音」とピアノの特に低音部とのぶつかりで得る響きの大きさ。ヴァイオリンとピアノでつくる音楽。
ヴァイオリンがメロディでもなくピアノがメロディでもなく両者が合わさった響きで初めて出てくる音なのである。
この辺が、フランクの才能が発揮された作品でヴァイオリニストならず古今東西好まれている名曲の一つ。

 

第1楽章 イ長調 ノクターンのような舟歌のような儚さと憧れの瞑想曲で、絵をみているようなファンタジー。

第2楽章 ニ短調 スケルツォのような内面に秘めた強い情熱

第3楽章 調号なし レジタティーヴォ 幻想的に 無伴奏でバッハを踏襲する楽想

第4楽章 イ長調 カノン ピアノが先かヴァイオリンが先か絶妙なかけあい。これまでの楽章の動機が回帰し印象づける。感傷にひたるところもあるが、最後は決然たる音の流れで圧倒。

 

フランク:ヴァイオリンソナタイ長調(ヴァイオリン&ピアノ)【ピアノ独奏編曲 アルフレッド・コルトー】
アルフレッド・コルトー(1877-1962)は優れたピアニストで20世紀を代表するピアニストの一人。ショパンの校訂者で知られる。また、編曲も積極的に行っている。

服部百音のヴァイオリンの表現 素晴らしい

プロフィール

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nishikunn
☆PCPAL代表取締役 日本アコーディオン協会理事 FMはしもとパーソナリティー  ピアノテクニシャン  なにわシャンソンコンクール審査員 市ボランティアサークル連絡協議会副会長 TOPページへnishikunnのページ