ヨハン・セバスティアン・バッハ作曲 オルガン パッサカリアハ短調BWV582
バッハで オルガンといえば トッカータとフーガ二短調や 小フーガト短調が有名だが、この作品がオルガン作品での傑作と評されている。
パッサカリアは 変奏曲の一種。シャコンヌとよく似ている。が連続して奏される。オルガン用の曲 ペダルに主題があり 様々な変奏を加え展開していく。もちろん 主題が中声部に出てくる場面もあるが 和声構成が一定の期間が繰り返されるので 強調され曲の印象が深まり効果をひきたてる。20回の変奏が加えられ 後半のフーガに入っていく。ブラームスは 交響曲第4番 第4楽章を バッハのカンタータ第150番のパッサカリアをモデルにした。
さて、この曲 ワイマール時代の傑作、バッハは 教会のカンタータを毎週のように作曲しながら聖歌隊を指導し、その合間もオルガン曲 コラールなどの作品を書いている。それを約20年間にわたり続けていたのだ。私は、オイゲン・タルベールのピアノ編曲版で弾いているが、他にも編曲がある。
管弦楽用には ストコフスキー・レスピーギが編曲している。
これがテーマ ペダルによる
アルペジオの変奏 これは オルガン チェンバロでも綺麗に響くだろう
フーガに入ったところ 主題と 応答の 5つの音 そこに16分音符の走句 流れがよどみなく入ってくるのがバッハの音楽 フーガは4声の2重フーガで巧妙に構成され エネルギーを推進している・・・
長調に転じる この部分は 天に昇っていくような流麗なところ バロック音楽で フーガを形成しながら、ここまでの透明性のある音楽はそうない。
短調になり応答を変化させていく。この時 半音階を使用したり あるいは F# を使うことにより、劇的なドラマをつくっている。
ヘ短調の ダブルトリラーが登場 ペダルの響きに注目
コーダ 強奏するだけなく 16分音符の流れはそのままに 響きを重厚にして エネルギーを爆発させている。バッハと教会がひとつになったような音楽。バッハの音楽 これぞである。
(Kazuki Tomita plays) Passacaglia BWV582 :J.S.Bach 冨田一樹 バッハ:パッサカリアハ短調
オルガン: 冨田一樹 2016年度第20回バッハ国際コンクールにて、第一位を獲得
マリー=クレール・アランのオルガン 彼女はバッハ全集を3度録音している。来日もしており、サントリーホールのオルガンなど演奏した。私も 何度か サントリーホールでの演奏会を聴いた。アンコールは「トッカータとフーガニ短調」テンポに淀みがない。フーガを強力に推進する勢いは バッハそのもの。すごい拍手が起こったのが記憶に残る。
フランス最古の サンジェルマン=デ=プレ教会の響きでバッハが聴けたらよいだろう。