2017.12.17トリオ「カノン」演奏会の事
トリオ カノン「花音」と読ませるようだ。ヴァイオリン生産のメッカ イタリア クレモナ で活躍する日本人女性 ヴァイオリン 横山令奈(Lena Yokoyama)と チェロ アレッサンドロ・コピア ピアノ ディエゴ・マッカニョーラ のユニット この冬 来日した。彼女らは この短い滞在の間に 三度の演奏会を持ったという。それも オーケストラのリハーサルが2回あり 日程的にもハードなスケジュールのなか、精力的な演奏活動で大好評を得た。
今回のプログラム スーク:ピアノ三重奏のためのエレジー作品23
ショスタコーヴィチ:ピアノ三重奏曲第2番 作品67
シューベルト:ピアノ三重奏曲第1番 作品99
CDがリリースされており、ベートーヴェンのピアノ三重奏曲「幽霊」&「大公」が収められている。さて、プチエルは 収容80名ほどの 縦長のホール。ほとんど満員で 私は真ん中より少し後ろ右側の席。多分、10mは離れていると思う。杞憂は、第一音にて打ち消された。
スークの曲。ヴァイオリンの繊細な音色だが、近くに聴こえる。音楽は「聴く」のである。ヴァイオリンが、かなり古い時代の音に聴こえた。楽器なのかな。いや奏法だ。なんだか懐かしい音色がする。昔のハイフェッツやミルシティンのような音色。不思議であった。
2曲目はショスタコーヴィチ、戦争がテーマの曲。荒涼とした雰囲気や戦いの場面など精細な表現がよかった。
休憩後
シューベルトの白鳥の歌 ピアノ三重奏曲第1番 D898(遺作)作曲 1827年~28年(晩年)
最初に「冬の旅」というキーワードがうかんだ。活気をおびた主題があるが瞑想的でシューベルト特長の転調がある。そして第2楽章シューベルトの「白鳥の歌」は 美しくて落涙。シューベルトはカロリーネに失恋し絶望した。健康上の問題もあり、自分のための音楽を晩年書いたのだった。それは 果てしなく続く「旅」。形式を知らなくても表現されていること=「冬の旅」に思いを馳せる。第3楽章は、メヌエットなどの舞曲やトリオを含む陽気な部分。第4楽章、ピアノソナタ21番の最終楽章にもある途中終止。ヴァイオリンとチェロ、ピアノの深淵な世界を展開した。約40分ほどだったがあっという間に終わった。音楽的にも充実していた。
アンコールはドヴォルザークのピアノ三重奏曲 第4番 ホ短調「ドゥムキー」から
演奏終了後 CDとサインと記念撮影。
私はこの日、午前中演奏がありその足で会場に向かった。終始落ち着いた雰囲気であった。演奏する前にLenaさんからの一言があり、落ち着いたナレーションが音楽をスムーズに導入するのだから・・・
今週の後半には、イタリアへ帰国されるという。次回、各地への演奏活動で「日本」を選んでいただければ、多くの方が足を運ぶだろう。