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スクリャービン/練習曲嬰ニ短調op.8-12


スクリャービン/練習曲嬰ニ短調op.8-12「悲愴」

スクリャービンといえば 神秘和音。増音程を重ねて「法悦の詩」を作った。
初期の ピアノ協奏曲嬰へ短調は 神秘和音を使っていない作品で ショパン的で壮麗。ロシアの舞曲 自然の壮大さ が伝わってくる。

ピアノソナタは、「白ミサ」から神秘和音の響きがあり ロマン派 国民音楽派 の流れをくんでいる。

練習曲嬰ニ短調8-12は 「悲愴」ともいわれ、ロシア帝国の栄華 哀しみを表している。

ウラディーミル ホロヴィッツが好んでアンコールで弾いた。そして スクリャービン自らもよく弾いたという。すごい迫力。

ところで 左手の1オクターブ4度という音程がでてきて 手の小さい人は演奏が大変かもしれないが そこはテクニックで。

Maria Lettberg performs an Etude Op. 8 No. 12 by Scriabin (alternate version) マリア・レットベリ
スクリャービンのよき解釈者として 全集を出している。

この曲を手の大きくない(1オクターブが届くくらいの)ピアノの先生が練習しているのを聴いて驚いた。スクリャービンの曲を演奏するのは
「難易度」ではなく、弾く技量があるかどうかが一目瞭然。練習に耐えられるという意味がある。
ドラマチックな調性で音型は、スクリャービンの練習曲の中ではまだ弾きやすい部類に入る。

中間部 右手オクターブと左手の一拍目のオクターブが劇的な和声を醸し出している。
フォルテッシモが出てくるが クライマックスは最終の方にあるので セーブして。

コーダの左手の激情のオクターブの内声を表現したい。軟弱では、すまされない。音楽を伝える情熱がパワーとなっている。
この曲は、徹底した「オクターブ」でがっしりとした「和音」が積み重なる。その背景を感じとってほしい曲。