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ショパン バラード第1番ト短調作品23


ショパン バラード第1番ト短調作品23

フィギュアスケートでのプログラムで 浅田真央選手や 最近では 羽生弓弦選手が使用している。
映画「戦場のピアニスト」では、ユダヤ系ポーランド人のピアニスト、シュピルマンが、戦災から 避難しているところをドイツ人陸軍大尉ホーゼンフェルトに見つかり、その場で「バラード第1番」を演奏した。ホーゼンフェルトはポーランドの魂をみた。ホーゼンフェルトもかつてピアノを嗜んだ一人。いたく感動し、彼の命をたすけ支援する。

バラードは 8分の6 4分の6拍子等の 物語風の自由な楽曲形式。ブラームスなども作曲している。
ショパンの心境は察するにあまりある。20歳の時 ピアノ協奏曲第2番の演奏会の成功させ 第一歩を歩んだショパン。ウィーンにわたるが フランスに赴いた。ポーランドは 平らな国。中欧最大の農耕国、繊維、鉄鋼の産地でもある。ポーランド人は 世界でも唯一愛国の精神を有する。古代からバルト3国 ロシアとの関連は密接なものがあった。紛争が絶えなかった地域でもある。フランスによるウィーン体制や ロシア・ドイツに占領されてきた歴史がある。ドイツナチスによるホロコーストは大変な苦労を強いられた。

実際、ポーランドに滞在し話を聞くと、都市部に英語が通じるところがある。教育機関で外国語に英語を選択できるようになっている。感情からすると ドイツ語 ロシア語に抵抗がある人も少なくない。が、未来志向でかつ視野がグローバルなポーランド人が凄いと思う。

さて、バラード一番は 次の構成とみることができる。序奏 A(ト短調) B(ヘ長調) A´(イ長調)B´(ホ長調)C トリオ(スケルツォ) B´(変ロ長調)A´(ト短調)D コーダ

ショパンは国民的詩人アダム・ミツキエヴィッチの詩を作曲のきっかけとした。概略「リトアニアは、十字軍に敗れ独立を失った。王子コンラード・ワレンロットは捕虜になった。十字軍の首領に息子として育てられ、勇敢な騎士となった。彼は策略を図る。リトアニアの独立を企て作戦は成功した。が、彼は裏切り者として十字軍に処刑されてしまう。」

リトアニア  現在のvilniusにある教会 1569年から1795年まで存在した複合国家。広大な国の一つ。終末期には、スウェーデン・ロシア・オーストリア・ドイツの緩衝国となっていた。また、クラクフは ポーランドの古都、ワルシャワ、ウージに次ぐ第3の都市。1038年から1596年まで都として隆盛した。



 



オクターブから序奏がはじまる。主題1は物悲しい物語のはじまり。夢想的な楽想でもある。



アジタート気味な楽想は「闘い」とでも言えようか。左手のリズムが強調される。2分の2のはやいプレスト アルペジオが波打つが 穏やかになると 4分の6の 穏やかな「主題2」



「主題1」に回帰するがイ長調。緊張感を持って憧れに展開してゆく。重音のホ長調「主題2」


ホ長調 オクターブで熱く語るが スケルツォがトリオ的に挿入され 左手のアクセントに注目。



レジェロなモーションが頂点に達すると降りてきて「主題2」変ロ長調でカンタービレ風に奏される。



アルペジオでテンポが緩められる。このあたりの処理がショパンの絶妙な表現で 難しいところ。「主題1」が回帰。しかし、陰鬱な主題が悲劇を予感する。次第に感情がせき込んで。爆発する跳躍の和音で示され 次のプレスト・コン・フォーコへ移行する直前の5連符を大切に。ショパンの入念な処理がなされているところ。ここから2分の2 アジタートに入る。奈落の底を表現。



激しくアクセントが強い。不協和音的な音も混じり 激しさを交え強めていく。最高音の和音が下降 左手、右手の交差で効果的に降りてくる「よく音の響きを聴くこと」。



下のGから最高音まで駆け上がり パッセージが滑り落ちる。最初の「主題1」が6連符に変化。「何かを問うような」動機。スケルツォの2番の最初にも雰囲気が近似する。劇的な短調のスケールで応え 激しさを表現。

最後は、最強音の右手と左手のオクターブが互いに呼応し、オクターブで主調に降り立ち 決然たる音で 締めくくる。


Yuja Wang


ショパン バラード第3番変イ長調作品47


ショパン バラード第3番変イ長調作品47 1841年の作曲 この頃 ポロネーズ第5番  幻想曲作品49 などが作曲されている。円熟期。ミツキェヴィッチの「水の精」が動機になった。

湖には 水の精がいるとされている。それは たいてい美しい女性。日本でも 余呉湖 には 羽衣伝説がある。掟をやぶると 湖の底にしずめられるというもの。それは ある男が 違う女性を好きになってしまい 水の精にいたずらをしたから。また、月の世界にかえっていくというストーリーもある。湖には 山も映り 月の光もうつるから。神秘的であるが 湖底は怖い。

バラードとは 4分の6拍子などで書かれた 叙事詩に基づく物語風の音楽。4曲 つくられているが
1番 ト短調 2番 ヘ長調(コーダはイ短調)3番 変イ長調 4番 ヘ短調。3番は、唯一長調で書かれている、ポーランドの舞踊をフランスにあうかたちに融合させ成功させたのではと思う。洗練された華麗な音楽。

情熱的で優雅 バラードの名にふさわしい。他のバラードより 8分の6拍子がよく響いている。技術的に 細かいところで配慮があり その効果を出すのは 難しい。特にオクターブ奏法。右手の箇所 左手の箇所が どう弾くかにより 表現が変わってくる。拍子ありきではないのである。フレーズをよく考えなければならない。

ショパンは、フレーズを見誤るのは 例えば「わけのわからない言葉をしゃべるのと同じだ」と語っている。特にこの音楽は 重音が多いので 声部をどう響かせるかも大切である。


左手の魔術師 マルク・アンドレ=アムラン  Marc-André Hamelin
ピアニスティックに演奏 ピアノが繊細である。

まず 導入 湖に水の精があらわれるような 変イ長調の響き 左手の半音階の伴奏型





序奏が終わり メインのバラードの主題。私は このリズムは フランス的でなく ポーランド的に響くものだと思っている。



展開部 変イ長調の典雅な響き 湖面に水を張ったような おそらく透明な水なんだろう。



高音部に向けて 迸る泉のようだ。



間もなく 霞がかかり 嬰ハ短調となる。オクターブで 力を強め 頂点へと。



嬰ハ短調 フォルテッシモ。重音で 主題を奏でる。月の光や、湖の深みにはまってしまう・・・



左手のオクターブ奏法。湖面の水をイメージ。穏やかな水面。
半音階の下がりは 何気なくだが 難しい。



エネルギーをため 最後のクレッシェンド。輝かしく 舞踏的に響かせる。



コーダ 弾むように 駆け上がり 最後の4和音は 意識して。他の 3つのバラードにはない長調で終わる・・・


ショパン ピアノソナタ第2番「葬送行進曲付」


ショパン ピアノソナタ第2番変ロ短調 作品35「葬送行進曲付」

フランスの社交界 サロンの音楽として洗練された ショパンの世界 憂いもある。



ショパンは ピアノソナタという形式に こだわっていなかった。
習作時代 17歳に ピアノソナタ第1番がつくられたが 生前出版はされなかった。この作品は 遺作となり 欠番となっていた 作品4に おさまった。なお、「葬送行進曲」は 1837年に作曲していた。マリアとの別れによる絶望がこの曲を書かせたのか。デルフィーナ・ポトツカとの恋とは 明らかに違う感情を往復させていたと思われる。

ショパンは ピアノ協奏曲の世界に夢中だったのかもしれない。事実 エチュード(練習曲)は、
コンチェルトのある箇所をモティーフにして曲ができているから。しかし ショパンのなかでは バラードと スケルツォなど 性格的小品の作品群を考えていたようだ。すでに、ピアノソナタは ベートーヴェンが32曲発表していることから シューベルト以降 ロマン派の作曲家は 性格的小品の世界へ投入することになる。シューベルトの後期 ヘ短調即興曲は ソナタとみることができるとシューマンは説いた。
ショパンは 前奏曲 作品28 を作曲し スケルツォ変ロ短調 作品31 を完成させた。マリアと別れ ジョルジュサンドと共にしていく。次なる世界として 強力なメッセージの「葬送行進曲」

変ニ長調は柔和であるが その短調は 嫉妬深く 少し陰鬱な感も望めない。さらに このソナタは
半音階を多様、Ges ⇔F 、Des ⇔C  、B b⇔ A(旋律短音階)が 雰囲気を醸し出している。

変ロ短調に関連させる序章 スケルツォ フィナーレを新たに作曲し まとめたのが ピアノソナタ2番である。最初から ソナタをつくるつもりがあったのかどうか。シューマンは 「乱暴な4人の子供をソナタの名で無理やりくくりつけた」と評価した。たしかに 1楽章の動機と 2楽章の主題に 関連性はみあたらず 疑問が残る。が、3楽章 4楽章の 半音階のモティーフは関連性がみえるともとれる。

この曲は 協奏曲 に次ぐ 練習曲 数曲に匹敵するほどの難易度を誇る。パワーも必要だ。ショパンの作品のなかでは FF PPの対比がよく現れていて 聴きごたえがあるが リサイタルでの全曲演奏の機会が少なく ショパンの真価を伝える演奏を期待したいところ。

この曲を聴くと スペインの マジョルカ島 バルテモサ カルトゥハ修道院に 厳しい冬 住処としていた ショパンの姿を思う。ジョルジュ・サンドとの生活は ショパンの体にどれほどの影響を及ぼしたのだろう。「陽だまり」は、ショパンにとって 名曲を生む動機となった。

私が思うに 前奏曲作品28と ソナタ2番「葬送」は どこか 音の扱い方に共通点がみられる。もしかすると ピアノ協奏曲の演奏のための 訓練として書かれた「練習曲」を作曲しているときに ショパンは新たな音の世界に気づいたのかもしれない。そして、素朴に詩的な作品群「前奏曲」が薔薇の香りを包んだものになったことをショパンは知っていた。「雨だれの前奏曲」も ここでつくられたのだ。




第1楽章「Doppio movemento」 2倍の速さで 動きを以て 序奏は劇的だ。これから 何かがはじまる・・・
ここでのポイントは 半音階のスライド。21小節からの動き。



続いて コラールの部分 変ニ長調 ショパンが好んだ調性 黒鍵を多用する。柔和な楽想。ここでも 半音階の伴奏音型が出てくる。



中間部 コラール風の楽想は ペダルにより せきこんで クレッシェンドし
鬼気迫るFF メロディアスでなく 感情を爆発させている。

右手が動機で力強く、左も動機でその絡みつく音楽。ショパンの天賦の才能が発揮される。
リズムにアクセントがついていてこれが重要。低音のベースの動きが大切。響かせる。



再現部 移調し 主題をうたう コーダは、クライマックスを築く。終止形は 次の楽章への準備も。



第2楽章「スケルツォ」 ベートーヴェンはシンフォニーで使い「冗長でおどけた楽想」とされているが、ショパンのスケルツォは、「強烈な皮肉 瞑想と 感情を爆発させた音楽」 鋭い感性を要する。
左手の伴奏音型 Es E   ,Gis G は 半音階を使っているが 関連性は不明である。



中間部のコラール 歌謡性のメロディー 瞑想的でもある。



第3楽章「葬送行進曲」 私は 幼少の時に テレビゲーム「インベーダー」が流行ったが ゲームオーヴァーの音楽がこのモティーフ ・・・他に ゲームのなか 速度が増しインベーダーが襲ってくる時の「連続4音」は 英雄ポロネーズの中間部 ベースの音。まさか ショパンの音楽を聴いていたとは。左手の音型の中でも F G♭の半音階が印象づけられる。1楽章の半音階と関連している。



中間部は コラール 静かにうたいあげる。行進曲とは、対照的。



第4楽章 presto 嵐のような楽想。オクターブのみ。無窮動は バッハの 平均律 プレリュードでもある。ショパンでは 練習曲の 作品10-1 10-2 25-1 25-6 25-12 ・・・
アルペジオ奏法からハーモニーを見出す。しかし この楽章をどう理解するのか。「前奏曲第14番」を参考にするとよい。この音に耳を傾け ショパンの真の吐露を見逃さない事。





最後から11小節目より 動きと和声が複雑。不思議で、ショパンにしか書けない作品。

以下は 前奏曲第14番


ショパン 幻想曲ヘ短調作品49


ショパンの曲には どんな小さな プレリュード マズルカ ワルツにしても 必ず起承転結がある。1曲を聴いていると 終わりには何か余韻が残る・・・
私の音楽友人が この曲をはじめて聴いたとき これは「音楽のドラマ」と感動の涙をしていた。

ショパンは「リアリスト」であるがゆえに ファンタジーを的確に描くことができた。若干20歳の ピアノ協奏曲2曲で
祖国と訣別し ピアノの創作の世界で生きてゆく。数々の出逢い・・・ フランスの社交界に颯爽とデビューした。
決して祖国ポーランドを忘れる事はなかった。円熟期に、このファンタジーができあがる。
ノアン島での ジョルジュサンドとの暮らしや その家族の事などで いい環境ではなかったようだが
「ドラマ性」は、現実の生活で充分得ていたとも思える。

ショパンのファンタジーは唯一この音楽。
4分の4 2分の2 からなる。中間部を呈した 壮大な物語と言えるのでは。

バラードは 詩人の叙事詩からヒントを得ているが。
このファンタジーは 私が思うに「ショパン自身の人生」が音楽になったとみている・・・

もちろん マズルカ作品59 36番 イ短調 37番 変イ長調 38番 嬰ヘ短調
バラード4番 幻想ポロネーズ 舟歌 ピアノソナタ3番 チェロソナタ 等の傑作が生み出されているけれども。

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まず 序奏から 雪の降る街を連想させる楽想 行進曲。

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変容 2分の2へ カラーが変わる。最高音Fから 下降する音はドラマティック。その後のアジタートは
低音部が徐々に上昇して迫りくる。a tempo のテーマは、「優しく 柔らかく うたわせること」。

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上昇する跳躍のアルペジオ音型 旋律を得手にしているショパンにとって 重音が主の曲は 新たな境地を築く。
この曲の 強固なバス オクターブは 強弱により 多様に表現される。

中間部のコラール サンドとの別れを描いたという。引き裂かれた ドラクロワのショパン像を思う。

(下記の譜面はノクターン11番ト短調の中間部)

 



中間部。しかし これが最強音になると 行進曲風になる。

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今度はオクターブを伴い 重く そして壮大に テーマを語る。クライマックスと その前の静けさ。

コーダの前 行進曲から 最後の跳躍。転調し 最強音で のぼりつめる。
最高音Fから 一気に半音階で下降する。ここで このドラマは終わったかにみえた・・・

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アルペジオは 柔らかく 変イ長調 天にも昇る感じで 上昇。
最後の2音は 何かを断ち切るような感動を。

バラード3番を書きあげた後、ショパンはまだ足りない 自分の限界に挑戦していた。その結晶が ファンタジーだった。


夜想曲(ノクターン)第16番変ホ長調作品55-2


ノクターン(夜想曲)第16番変ホ長調作品55-2 ショパンの晩年に近い作品。
幻想曲ヘ短調 作品49 ・・・バラード4番 作品52 ポロネーズ第6番「英雄」 作品53 スケルツォ第4番作品54 など 大規模な作品群を完成させてゆく。ジョルジュサンドとは 終わりを告げていた。そんな中で
イギリスから パリへ 「ジェン・スターリング」が来ていて ショパンのレッスンを受けた事から きっかけとなったようだ。彼女は 以後 ショパンの生活を支援する。ノクターン15番 16番の 2曲は 彼女に献呈されている。

15番 ヘ短調は 謡曲風で シャンソンを連想させる。ショパンは この曲を 歌手の伴奏をしながら オブリガード等即興で演奏していたのかもしれない。

そして 第16番 変ホ長調 美しい作品。ヴァイオリンとピアノのために編曲されている。(サンサーンスなど)
舟歌 8分の12拍子 ゆったりと揺れるリズムに楽想をのせ 丹念に織りあげていく。

中間部が もの憂い ショパンの思いが伝わってくる。生気を取り戻し 病と闘う 作曲者の 昇華される音楽の世界。

コーダの 5連符と 内声の バランス。ペダルによる 豊かな響き を感じ取って(ピアノでは出せないかな)ビブラートで震わせるような。「音楽はバランスが大事」 ショパンが、真珠を例にとり 「まとまりが大切なのです」と、語っている。

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ワルシャワ 十字架教会にある柱に ショパンの心臓がおさめられている。フランスの ペール・ラシェーズ墓地には 心臓以外がおさめられているが、魂は ポーランドへ帰ることを希望したのだ。

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カンタービレ 8分の12 のゆったりした伴奏に ソプラノが うたいあげる 中声部は オブリガード かけあいを愉しむ。

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中間部が もの憂い 彷徨う
2段目の2小節目の音は かつてない寂しさ 哀しみ・・・ショパンの思いが伝わってくる。
例えば ソナタ3番の第3楽章でも このような和声はあまりない。

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コーダへ ペダルによる 豊かな響き を感じ取って (ピアノでは出せないかな)ビブラートで震わせるような楽想。音楽と時間をともにする・・・


ショパン バラード第2番 作品38


バラード第2番 ヘ長調 作品38 作曲 1838年か 叙事詩「バラード」から 構想を得て 音楽にしたもの。ブラームスなども 遺しているが ショパンのバラードが 物語性が高い。タイトルに 調性をつけてないのは それなりに考えがある。シューマンに献呈した時は イ短調のコーダは付されてなく へ長調で終わっている。

構成 A ヘ長調 B 二短調 A’ ヘ長調  B’ 二短調 コーダ イ短調

バラード 背景に 詩人『ミッキェヴィッチ』の「ヴィリス湖」。概要は、リトアニアとロシア間に戦争が起き リトアニアは 十字軍に敗れ 独立を失う。リトアニアの深い森の中の湖には 神秘的な物語がある。戦争により、女たちは生きて捕らわれの身となるよりも 死を願って神に祈る。たちまち 大地震が 街も城郭も 崩れ 消え去った・・・(省略)

ショパンは マリア・ヴォジンスカと婚約状態であったが、破棄された。ちょうど この時期と重なる。ショパンは マリアとの手紙を 「Moja bieda(わが哀しみ)」として宝物にし 公にしなかった。ショパンは マリアとのやりとりを わが悲しみ Moja bieda とし
これを持って 大切にしていた。



うまくいかなかった原因は 諸処あるだろうが ショパンは 「革新的活動家」とマークされていたのかもしれない。ワルシャワではティトゥスと親友であり ウィーンまでは 一緒に来ている その後 二人は ティトゥスが祖国へ ショパンは 父の故郷である フランス へわたった。

A ヘ長調 コラール風の 穏やかな楽想が続く

B 二短調 嵐の如く 激しい アルペジオ(下降音型 と 上昇音型)

A’ ヘ長調 回帰するコラール風の楽想だが テノールが声を添え メゾとのかけあいをする。
落ち着かない= 嵐の予感か そして 本当の悲劇が

B’ 二短調 嵐だが 先ほどよりも 激しさを感じる そして 城郭も破壊されたのか奈落の底へ
ダブルのトリルで 次のコーダへ

コーダ イ短調 agitato アジタート せきこんで  和音が密集 「隣の半音を打鍵する型は大変珍しく」 また 半音階や連続打鍵など 最後は 下降音型と 2オクターブにわたる 跳躍で 激しさを・・・フェルマータ クライマックスへ 今までにない音型が使われているが 左手がポイント

最後の数小節は バラードの劇的な終わりを示している。このような 終わりを予想できないところにショパンの天賦がうかがえる。

A 穏やかな 物語の初めと 牧歌的な和声 この後 凄まじい音型を予想できるだろうか。
無窮動的なものから生み出される2番。この2つ(AとB)の対比が著しいのがこの曲のよさである。

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B 激しい部分

「1番の闘い」の時以上の激しさ。おそらく城郭が崩れさるような。
気になるのは 右手と左手が 近接していくのに 強弱が逆であること。
右手は 弱めていく 左手が 強めていくこと もちろんフレーズの終わりは乱暴にならずに。

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左手のパッセージが うねるように 楽器の共鳴関係からいくと
1小節目、バスのA 右手のAがあるので おのずと右手Eは響きが大きくなる。
同様 3小節目 バスのC 右手のC そして G
2段目 1小節目 Eフラット 右手のEフラット Bフラット
3小節目 はじめて 不協和音が出てくる。激しくぶつかる音程。バス Fフラット 右手 Eフラット

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A’ 最初の楽想に戻るが テノールと メゾがかけあう部分が印象的。

B’  激しい部分 先ほどよりも 跳躍が著しく 激しさを物語る。
デーモニッシュな和声 そして トリルからクレッシェンドしコーダへ

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このような音型はあまり見たことがない。高い芸術性がうかがえる。マリアとの婚約破棄 ショパンの人生に どれだけの影響を与えたのか。このバラードもそのひとつ・・・

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フェルマータの余韻の後 最後の数小節 バラードの劇的な終わり

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ポズナンにある アダム・ミッキェヴィッチ公園のポーランドの国民的詩人 アダム・ミッキェヴィッチの銅像。 木々と比べると その大きさに驚く

ポーランド蜂起に多大な影響を与えた。ポーランド蜂起は、ショパンが激情の迸る作品を生み出す決定打だとなった。革命のエチュード バラード1番 スケルツォ1番などが生まれている。

 

 


ショパン 序奏とロンド変ホ長調op.16


ショパン ピアノの詩人として 親しまれている。別れの曲や 子犬のワルツなど 小品から ピアノ協奏曲 バラード スケルツォ マズルカ ノクターン 即興曲など ピアノ作品で 美しい曲をたくさんそろえている。
全曲は 200数十曲だが この中で あまり演奏されないものもある。

私は 好きなものは 舟歌 バラード4番 幻想ポロネーズ 夜想曲 16番 17番 ・・・ 晩年のものが多いのだが もっと聴いてみたい作品として 「序奏とロンド」をあげておきたい。

これは先日、音大の新人演奏会で おそらく久しぶりに?聴いたのだが 大変難しい作品のひとつ 演奏効果も高い。ロンド形式 これを学び協奏曲のロンドに活かしていったのかもしれない。ショパンの作風を物語る一つの経過点として。技巧がちりばめられており アンダンテスピアナートと華麗な大ポロネーズ 作品22 と よく似ているような雰囲気を受ける。ピアノ独奏曲としては 表現に富んでおり 何度も聴いてみたい作品。

尚、ショパン国際コンクールがあるが 第1次予選 45分以内にまとめることの中から・・・
あるグループ プレリュード 嬰ハ短調 op.45  ロンド ハ短調 op.1  ロンド・ア・ラ・マズール ヘ長調 op.5
序奏とロンド 変ホ長調 op.16 から1曲演奏とある・・・自分で開拓するショパンの作品・・・
どう弾くか 初期の作品の瑞々しいところ・・・恋焦がれている雰囲気・・・蜂起するポーランドの誇りなど

画像は ドラクロワのショパンの油彩画

ホロヴィッツの演奏がある。ニューヨーク スタインウェイ の派手な音色と ホロヴィッツの強靭なタッチ


宮本英世さんのお店「ショパン」


宮本英世さんのお店 クラシック音楽が流れるお店。常連さんも多い。
クラシック深夜便の著者で「クラシックの贅沢」など著作多数。講演などもされています。「音楽の世界」などに連載中 御年80歳とおっしゃられる。奥様も 気遣いのされる方で お店にいて 心地よい。
うちのお店はしゃべっていいんだよ。と明るく話されていた。また、講演会活動も20年を数え 継続されているとか。

もちろんクラシック音楽がかかっているのだが。それ以上に嬉しいのが 著作本の数々。
題名も興味深い。 「クラシックの贅沢」 「クラシック深夜便」など

絵画は斎藤与里氏の作品。 お店は金曜定休 有楽町線 池袋から一駅 要町から 徒歩5分

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「木枯らしのエチュード」ショパン/練習曲作品25-11


ショパン 練習曲(エチュード)は全部で27曲つくられている。作品10が12曲 作品25が12曲 遺作が3曲 有名な 別れの曲 黒鍵のエチュード 革命のエチュード 木枯らしのエチュード 大洋・・・ 遺作の3曲 難易度から前奏曲風だが 練習曲の主張をしている曲だ。

この曲は ショパンにしてみれば1821年から25年にかけて作曲された。ショパンにしてみると 長期間である。ワルシャワ蜂起のやるせなさを
練習曲作品10-12 ハ短調 革命のエチュード
練習曲作品25-10 ロ短調 徹底的なオクターブの表現は異例。激しさをみることができる。
練習曲作品25-11 木枯らしのエチュード めぐるめく右手の跳躍と左手の決定的な表現。
練習曲作品25-12 ハ短調「大洋」無窮動的な音型は 雷鳴のごとく 哀しみを湛えている。

練習曲を目指して出来上がったものは芸術性の高いものであった。最初は エクゼルシス(指の訓練の為に)と書かれてあった。これは チェルニーのように機械的な訓練ではなく、音楽的な効果を考えられたのである。バッハの平均律クラヴィア曲集をショパンは敬愛していて レッスンでもとりあげている。最良のテクストだと。

レオポルド ゴドフスキーはポーランドの作曲家 ショパンの練習曲による編曲で53の練習曲を書き上げた。
1曲だけ書くことができなかった曲。 作品25-7 夜想曲風 フルートとチェロの2重奏とピアノの伴奏を一台で表現するというもので 楽譜から読み取る表現の練習曲で ゴドフスキーも手を入れることができなかった。

さておき 私がショパンで最も好きな曲のひとつは 練習曲作品25-11 「木枯らしのエチュード」ピアノ音楽において ハンマークラヴィア以上にピアニスティックな作品。これをオーケストラで演奏すると ピアノらしさがなくなってしまう。最もショパンらしい作品のひとつ。演奏を試みたことがある。右手の3、4、5の指の強化 アルペジオ5、2、4、1 手首の転回など。こんなに難しいのに、左手がコントロールし主導権を握っている。

それをさらに難しくした ゴドフスキーの編曲。この曲はポーランドの誇りである。

ポーランドは その名のとおり平らな地。ロシアやドイツに占領され、苦しめられてきた。誤解されるのだが 民族的には ポーランド語を話し ローマカトリック教の信条が「ポーランド人」。文字はアルファべートを使う。他の東欧諸国はロシアのようにキリル文字を使うが。ギリシアよりの宗教である。ぶどう・小麦を栽培し 自国のポーランド語を大切にしたきた。ホロゴーストにも遭っている。コペルニクス キュリー夫妻 ポーランドは多くの天才を生んだ。10月17日は ショパンの誕生日である。

写真は ポーランド ワルシャワ ショパン協会 オストログスキ宮殿で。

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左手と右手を交換して 編曲されている。ただでさえ 右手の半音階 5-2-4-1 の型が難しいのに それを左手でするのは 難易度が高すぎる曲。
ポーランドの誇りである。