神奈川フィルの「第九」2025.12.23 ミューザ川崎
指揮 沼尻竜典 コンサートマスター 石田泰尚
独唱 伊藤晴(S) / 山際きみ佳(Ms) / チャールズ・キム(T) / 青山貴(Br) 合唱 神奈川ハーニッククワイア
管弦楽 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
クラシック音楽界でも話題の石田泰尚氏「石田組」を組織し、新たな音楽の追求とエンタメとしての発展に貢献している。神奈川フィルの21日の横浜公演は完売。第12期川崎市市民文化大使に就任された(令和7年12月~令和9年11月)。川崎市を盛り上げる。
川崎市出身。2001年神奈川フィルハーモニー管弦楽団ソロ・コンサートマスターに就任。以来“神奈川フィルの顔”となり現在は首席ソロ・コンサートマスターとしてその重責を担う。神奈川文化賞未来賞、横浜文化賞文化・芸術奨励賞を受賞。結成時から30年参加するYAMATO String Quartet、自身がプロデュースした弦楽アンサンブル“石田組”などでも独特の輝きを見せています。
沼尻氏のタクト 桐朋学園大学卒業後、ベルリン芸術大学に留学。指揮を小澤征爾、秋山和慶、尾高忠明、ハンス=マルティン・ラーベンシュタイン、作曲を三善晃、ピアノを徳丸聡子、藤井一興に師事。ブザンソン国際指揮者コンクール優勝後、国内オーケストラの主要ポストを歴任。海外での活動も多く、ロンドン交響楽団、ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団、シドニー交響楽団、トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団、ベルリン・ドイツ交響楽団、ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団、デュッセルドルフ交響楽団、ダルムシュタット国立歌劇場管弦楽団、ワイマール国立歌劇場管弦楽団、オーデンセ交響楽団(デンマーク)、ハイファ交響楽団(イスラエル)、香港フィルハーモニー管弦楽団などを指揮している。2008年にはカナダの名門、モントリオール交響楽団を指揮。
劇場指揮に優れていて、入りがわかりやすい。コンサートマスターの石田氏は、風貌はあの様だが、演奏となると緻密で伸びのある音色。ついてこい!でなく、俺と同じ気持ちで演奏しよう。楽しもうじゃないか。神奈川フィルのスタイル。一致団結した音色は聴く価値がある。どこかのオーケストラはもちろんレベルが高いが、澄ました演奏にみえた。自分を出さない醒めた感じだった。ホールも残業に課題があり音が吸い込まれていたかもしれないが。指揮者やコンサートマスターにもよる。私は、昨年はコバケンと日本フィル【ミューザ川崎】。その前はN響と井上道義【Nホール】 など聴いている。
第九は70分ほどの大作だが、今回は集中力を切らせずに聴きこめた。私は、パイプオルガンのすぐ下の席で音量バランスがよかった。指揮者、コンマスなどよく見える。ミューザ川崎は1階席とオーケストラ舞台に段差が少ない設計で1階前の席でも目線が極端に上にならずに済む。ホールによるが、前の席だと近すぎて首をもたげる場合がある。
私のおすすめとして、第1楽章の再現部の嵐の部分は悲劇的だが好きだ。第2楽章のスケルツォでの弦楽ピチカートはビートをきかせている。第3楽章は全交響曲の中でも特に美しい楽想で癒やされる。これがベートーヴェンの音楽だ、どうだろう?
第4楽章「歓喜の歌」の中間部の男声合唱の後のオーケストラのフーガで深刻さもあるがコントラバスの力強い演奏でぞくぞくする。「歓喜の歌」合唱の手前まで引っ張るところ。
そして、合唱の2重フーガでティンパニが後押しをするところ。悲劇を超えて歓喜に変わる。ベートーヴェンはこのように「神様は私の聴力を奪った。なぜ?しかし、私は立ち上がる。神から作曲せよと。作曲家は最も尊く神に近い存在だ。神の声をきく・・・」
独唱ソリストの出場に注目していた。合唱団は、舞台のオーケストラを囲むように第一ヴァイオリン側に女声、第二ヴァイオリン側に男声を配置。もちろん、第3楽章の終わりは「subito」なので間はない。第3楽章の始まりまでの入りが多いが。管楽器の「歓喜の歌」が出てくる頃にオケと合唱団の間に入壇した。
2001年、ユネスコ記憶遺産「世界の記憶」に選定。1992年に創設。2023年6月時点で550件以上が登録されている。2024年には、ウィーン劇場初演から200年を迎えた「第九」音楽で普遍的な価値を共有する。
神奈川フィルのyoutubeチャンネルで情報発信されている。
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