ショパン/夜想曲第8番変二長調作品27-2 1835年作曲。
この曲には、憧憬や愛惜などが混交している。第5番嬰へ長調作品15-2も詩情たっぷりだが またこの曲は違う。
それは、弱音の世界。現在のフルコンサートグランドピアノで がんがん響くのはどうか。
プレイエルやベーゼンドルファーなど おとなしい響きに上品が香る雰囲気がよいのでは。
この曲のポイントは 弱音志向で 時に フォルツァンドが現れるがすぐ戻る。
フォルテの場所は 数か所あるが アパッショナートであっても叩くようではない。
時期的に アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 変ホ長調 作品21 バラード第1番 作品23 練習曲集 作品25 2つのポロネーズ(第1番、第2番)作品26 前奏曲集 作品28 をひかえていた。
ピアノ協奏曲の世界から開花し、新たな方向性を打ち出している。ピアノ協奏曲第2番、第1番を作曲したが、ショパンの中に何かが残る。(かなりエネルギーを使ったようだ)
練習曲集は成功だった。当時、リストくらいしか弾けるものがいなかったからである。さらに言えば、20代初めですでにこの域に達し、作曲もできていた。ピアニスティックな世界。ポロネーズ、マズルカでポーランドの偉大さを表現したショパン。ノクターンでも、前奏曲集でもポーランドへの愛国心は変わらない。
それにしても、この繊細な表現とため息(吐露)は、ショパンの作品のなかでも随一で、激情の迸るバラードさえ、寄せ付けない。
私は、ノクターンで2曲選ぶとすれば、ドラマティックな13番とこの8番を選ぶだろう。
(14番、16番、17番、18番、20番が好き)
ポーランド ワルシャワのワジェンキ公園で ショパンの銅像。1926年11月14日に完成した。第2次世界大戦中ポーランドを占領したナチスは1940年5月31日に一番最初に、像を爆破した。ポーランドの誇りを挫かれたのだ。1958年 復旧した。
ショパンの得意な変二長調で 甘美な旋律 誰に描いた音楽なのだろう。しかし 一抹の寂しさもある。が 一時は強くなっても すぐ元に戻る 静寂の世界。
左手の6連符の第1音を大切によく考えて弾くこと。
この跳躍の10度、水を張って満たしたよう。私が、最も大好きな場面。このノクターンでは まず歌うことが大切。
唯一 素晴らしい表現が このフレーズ。リストのため息などとも全く違う。透明感を湛え、直後、寂しさが。
そして、何かを乗り越えたか、憧憬があらわれ強めアパッショナートへ。内に秘めたる情熱。デリケートな表現。
左手の何でもないような6連符に 夢のような旋律が散りばめられている。オクターブ5度の跳躍音が半音階で降りてくる。
最後の 右手の7連と左手の6連。穏やかに弾く事が求められている。たっぷり詩情を感じてほしい。
ヴァレンティーナは 一見力任せにみえるが こういう繊細な表現もコントロールしているのが 一流のピアニストである。