大峯山(1719m)山上ヶ岳(さんじょうがだけ)世界遺産「大峯奥駈道」
ユネスコの世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道(きいさんちのれいじょうとさんけいみち)」の構成資産の一部として2004年(平成16年)7月7日に登録。3つの霊場(吉野・大峯、熊野三山、高野山)と参詣道(大峯奥駈道、熊野参詣道、高野山町石道)が対象。修験道の根本道場である金峯山寺(きんぷせんじ)がある吉野山と熊野を結ぶ全長80kmの修行道。飛鳥時代から奈良時代の呪術師、役行者(えんのぎょうじゃ)(634-706)が開創した。大峯奥駈道には75の靡(なびき)行場があり、修験者は山上ヶ岳山頂の大峯山寺(おおみねさんじ)が戸開けされる5月3日から9月23日の戸閉めまでの間に奥駈修行を行う。ちなみに「大峯」は大峰山脈(吉野~熊野)のことを指し八経ヶ岳(はっきょうがだけ)(1915m、最高峰)弥山(みせん)(1895m)釈迦ヶ岳(1800m)大普賢岳(1780m)をはじめ、南端の玉置山(たまきやま)(1076m)北端の青根ヶ峰(858m)などが連ねる。深田久弥が選定した日本百名山には大峰山(1915m)とあるが、狭義的には山上ヶ岳(1719m)である事から、大峰山脈縦走路の八経ヶ岳(1915m)を指すとみられる。深田は、山上ヶ岳から大普賢岳、弥山、八経ヶ岳を縦走したのだった。そのため、山上ヶ岳は百一番目の山として認知されるだろう。なお、大峯山は女人禁制なので稲村ヶ岳(1726m)が【女人大峰】として登山されている。大橋茶屋手前の「エコミュージアム駐車場」か母公堂からが登山口。
山頂1700mに5つの宿坊があり、龍泉寺、櫻本坊、竹林院など立派。大峰山寺の瓦もそう。どうやって資材を運びあげたのか。ただただ驚くのは、この登山道は、ゴミひとつ落ちていない。ゴミ箱も置いてないので、持ち帰りが徹底されていると思う。途中、洞辻茶屋で食用のタマゴの殻のゴミが置いてあったくらい。山は神が宿るもの。登山が観光用であっても神聖な場所に登る事を心得て入山されてほしいと思う。もうひとつ、素晴らしいのは自然。大峯山脈は標高1300m~1900mで山は険しいのだが、高山植物の宝庫でもある。特に、苔の森があり、フィトンチッドの香りがする。白駒池に代表される八ヶ岳だけではない。紀伊山地(台高山脈、大峰山脈)の大杉谷をはじめとする苔の森、鈴鹿山脈のイブネなど、希少価値の森が存在することを忘れてはならないと思う。
清浄大橋より大峯山《山上ヶ岳》
「西の覗き」から《女人大峯》「稲村ヶ岳」と尖がりの大日山
コース《清浄大橋》標高差806m 往き198分 下り143分[標準タイム 往き190分 下り150分]距離 片道5.57㎞ 往復11.4㎞ 西の覗きから大峰山寺へがわかりづらい。
清浄大橋(913m)6時38分 一ノ世茶屋(1000m)6時46分 一本松茶屋(1080m)7時15分 お助け水(1355m)7時52分【洞辻茶屋】(1484m)8時23分 陀羅尼助茶屋 8時44分 【往き】《油こぼし》8時59分 鐘掛岩(1632m)《西の覗き》(1650m)9時31分 大峰山寺(1719m)9時56分 山頂(お花畑)10時
【帰り】大峰山寺10時24分 ⇒【下り 平成新道】⇒ 陀羅尼助茶屋 ⇒《洞辻茶屋》⇒ お助け水 ⇒ 一本松茶屋 ⇒ 一ノ世茶屋 ⇒ 《清浄大橋》12時47分
・清浄大橋 遥拝所がある。女人禁制結界門のひとつ。
・一ノ世茶屋跡 祠がある。祀っていた役行者像が持ち去られ持ち主に返っていない。罰当たりめ。どうしても欲しいなら、像を製作家につくってもらい購入したらいい。
・一本松茶屋 アーケード方式?の小屋で行者講の休憩所
・お助け水 ルートのほぼ半分。ありがたい湧き水。
・七曲り 沢沿いから標高をあげ九十九折に登る
・洞辻茶屋 大峯奥駈道と合流
・じゅるみ 謎の地点
・陀羅尼助茶屋 立派な小屋
・松清小屋 往き、下りの分岐道。滑落事故が多いので慎重に。救護所がある。
・油こぼし 3か所の鎖場、高度50m。「よく滑る」意味。強風、霧、雨天などは細心の注意が必要。私は、鎖を使えるところは使いながら足場を確保する。一つ目は難易度が低かった。二つ目は三点保持で攀じ登った。イワカガミ群落に感動。ここと「西の覗き」周辺だけ。三つ目は角度があり、鎖を引っ張りコントロールしながらうまくいった。しかし、左に巻く道があるから大丈夫。下を見たが森の景色なので恐くない。槍、赤岳などの「鉄の階段」の方が恐い。
・鐘掛岩 行場のひとつ、奇岩。高度感がある。
・西の覗き 日本三大荒行(大峰山、出羽三山、英彦山)の一つ。 命綱一本、断崖絶壁から上半身を乗り出し、不浄を払って生まれ変わりを願う。向かいの絶壁の巨岩の迫力。先達の「言う事聞くか!絶対守れるか!」「ハイ、守ります」と言わないと。もし、やめられない事があったらここに来るとよい(笑)【死んでも治らないものはどうしようもない】
・大峰山寺 役行者がここで修行し感得し金剛蔵王権現を本尊として開山し1300年。役行者像(神変大菩薩)を祀る。
・お花畑 ササ道、景色がよい。大日山、稲村ヶ岳もよくみえる。
富士山・白山・立山そして比叡山・高野山などかつて霊山は「女人禁制」だった。現在の女人禁制は、大峰山の山上ヶ岳と岡山・兵庫県境の後山の道仙寺奥の院の「行者道」など。その名残がある。ひとつが山上ヶ岳と「母公堂(ははこどう)」役行者の母がここに留まった。他に、高野山と「慈尊院(じそんいん)」弘法大師の母がそこに留まった。山は風紀を乱さないために戒律をまもらせた。その中には「不邪淫」または生傷を負うものは神域立入を禁ズなど他にもあるかもしれないが。山は神聖なもの。白い装束で行に臨むのも、清浄を維持するため。だからといって、女人が否定されているのではない。女性を貴ぶのは、もちろんの事。むしろ、女性を守るためである。山行場には危険が伴うのであった。
大峰山寺 7世紀末に修験道の祖である役行者(634-706)が、金峯山で千日修行を積まれ感得され、蔵王堂を建てたのがはじまり。
本尊は、金剛蔵王権現 また、神変大菩薩(役行者)が祀られている。
登山口に入る前に道の駅「黒滝」で準備。
山上ヶ岳登山口 大橋茶屋の駐車場 駐車料をポスト投函する。
レンゲ辻方面は林道を通り終点に駐車場がある。しかし、登山道が急坂で不明瞭であるため、上級者コースとなっている。
突き当りのレンゲ辻で左手に山上ヶ岳に行けるが、登りで利用するのをほとんどみたことがない。下りは利用する人がいる。右手に稲村ヶ岳への道で山上辻に行ける。
清浄大橋 渡ったところに「遥拝所」があり、無事登山できる事を祈願する。
女人結界門 ここ清浄大橋と他に五番関、レンゲ辻、阿弥陀ヶ森にある。
杉林の中、樹林帯をすすむ。
一ノ世茶屋跡(1000m)
一本松茶屋(1080m)
お助け水(1355m) ありがたい力水。飲めるかは掬ってから確認。ルートのほぼ半分(90分)あと1時間ほどで核心部分に到達予定。
沢沿いと平行に登るが、高度差が出てくる。七曲りで九十九折の道に。
二少年遭難碑
【洞辻茶屋】(1484m) 大天井ヶ岳方面、五番関へとの分岐
気温12℃ 風はほとんどない。インナー着ているので寒くなく丁度よい感じ。汗もかかない。
不動明王像
陀羅尼助茶屋
松清店 「救護所」担架運ぶ場所がある
ここから分岐《往き》油こぼし 鎖場3か所 鐘掛岩 ※下りでは使用できません。
《下り》平成新道 急な階段 実は、滑落事故のほとんどがこの場所で起きていることから、慎重にケガのないように。
この階段は急すぎて、体を前傾で板を掴むような感じだった。
鎖場1
鎖場2 攀じ登った
二つ目の鎖場を登ったところにイワカガミ群落が。鮮やかな色で。なんでここにだけ咲いているかな。
鎖場は終わったが見上げるような急坂が続く。
鐘掛岩(1632m)
分岐から合流、ここからはなだらかに。岩盤むき出しの道がある。
西の覗き(1650m)(先達の指導による)捨身行。逆さ吊りで崖下手前にせり出す。
《西の覗き》大日山 稲村ヶ岳
金剛山方面
アップダウンの道、山門、ここから大峰山寺の神域。
岩場の道を抜けると突然宿坊が複数みえる。
宿坊の奥に大峯山寺がある。
桜本坊 吉野にもあるけど、大峰山のはこれまた立派な。
目標の「大峰山寺」山頂が
大峰山寺(1719m)
大峰山寺 本堂内陣撮影禁止 神変大菩薩(役行者)像が祀られている。また「裏行場」がある。
山頂(1719.2m)標示
ササ道。目の前の尖がりは、大日山と《女人大峯》稲村ヶ岳
山頂(お花畑)
イワカガミ 特に大型のもの 鮮やかで葉っぱもつるつる。
ウマノアシガタ シロツメグサ《クローバー》の横に咲いているのでなんだか不思議。
森の匂い
苔の森