日光 釈迦堂「殉死の墓」「譜代家臣の墓」二十四基
太平洋戦争終戦から戦後75年。日本は同盟国(ドイツ、イタリア、日本)側で戦ったが劣勢になり、1945年7月、連合国(アメリカ、イギリス、中国、ソ連)側からポツダム宣言を突き付けられ、無条件降伏の聖断を仰いだが、御前会議で陸軍が反対し、8月を迎えた。サイパンのテニアン島は、スペインからドイツに渡り、その後、日本領となるが、重要な拠点であった。米軍は、この拠点を1944年7月に占領し、ここから沖縄や本州へB29戦闘機を発進し、本土空襲を行った。B29は、航続距離5000㎞。空襲がひどくなるばかりでなく機銃掃射、絨毯爆撃など、悲惨な状態。毎日のように空襲警報が発令され、防空壕に逃げた。「欲しがりません、勝つまでは。」重大な局面であることが報道されなかった。
原子爆弾投下専用機「エノラゲイ」が参戦した。連合国側(アメリカ)が、ついに広島に8月6日、長崎に8月9日に新型兵器を投下、ピカドンで多くの人命が失われ、終戦後の体制について協議される。8月8日には、ソ連が不可侵条約を破棄して参戦。樺太、千島列島などを占拠。日本民族が滅亡を招来する恐れが出てきた。国体保持を条件に付けるようポツダム宣言を受託した(無条件降伏)。8月15日正午、玉音放送があり、終戦を迎えた。
戦争で亡くなられた御霊二百万柱は、靖国神社で祀られている。沖縄戦で自決したひめゆり女学生、外地フィリピンで終戦をむかえ、現地の軍事裁判にかけられ処刑された軍人。片道の燃料で敵の軍艦に特攻した若き志願兵。新型兵器は、2か所で、一般人の大量殺戮、三十万人もの尊い命を奪った。極東軍事裁判で天皇に代わりに戦争責任者として裁かれた二千名とも言われる殉死者。書けばきりがない。一人一人の人生がある。
今の時代では考えられない、武士道や玉砕など。忠心を誓わし、玉砕する事が悪だとは思わない。これが、至極当然のように行われていた。(疑問を持つ者もいたが、上官に逆らうと鉄拳、暴力、拷問など非情な仕打ちを受けた)今、日本は戦争なしで75年。平和ボケしてるが、言論の自由が保障されている国だ。それが当たり前でなく、GHQの政策により今がある。もっと言えば、自衛隊があるから。自衛隊の75%が沖縄にあるが、沖縄の住民はさまざまな困難に屈し乗り越えてきた。日本を護ってくれている事に深謝したい。
「殉職」とは職務のために死する事。公務員をはじめ、警察官、消防隊員、自衛官、海上保安官などが対象にあたる。が民間でも職務中、工事作業者が事故で死亡した場合など殉職とする。環境、条件などにより特進が慣行されている。
江戸時代、3代将軍徳川家光の時代まで殉職があり、この24基がその証。その後、廃止されている。明治時代、日清戦争、日露戦争など有事になり、武士道が再び台頭。明治天皇崩御の際、乃木夫妻は自刃した。忠誠心に感激した国民が、やがて乃木神社を祀られることになった。
日本だけでなく、世界でも殉職は当然のように行われていた。例えば、ツタンカーメンの墓、箸墓古墳などでも。王が亡くなられ埋葬される際に、生贄として埋められた。時代が変わり、埴輪が埋められるようになった。動物では絵馬。本物の馬を神社に奉納していたが、その名残が絵馬になった。獣を神の化身と捉えていたので、信仰から神事が行われていたのだ。
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釈迦堂「殉死の墓」譜代家臣の墓(しゃかどうじゅんしのはか ふだいかしんのはか)24基
高野山にある「徳川家霊台」の空気とはまた違い、ひっそりとしている。手を合わせた。無念にも殉死された重臣、家臣に哀悼の意を表する。
女峰山の東南麓、日光山輪王寺釈迦堂の境内、大谷川北岸、釈迦堂の西にある、総数24基の墓碑。江戸時代には、前・中・後の3列で、前列(5基)が徳川三代将軍家光の殉死者5名の墓碑、中列(12基)と後列(7基)が初代将軍家康・二代将軍秀忠の譜代家臣の墓碑。現在は、後列の7基が前列右側に移され、2列。
○殉死の墓(5基)
慶安4年(1651)徳川三代将軍家光の死に、殉死した側近5名の墓碑。堀田正盛(玄性院殿、老中・下総国佐倉城主)、阿部重次(芳松院殿、老中・武蔵国岩槻城主)、内田正信(里明院殿)、三枝守恵(静心院殿)、奥山安重(真證院)。家光から特別な恩顧をうけており、番方頭(親衛隊隊長)を勤めていた。
○譜代家臣の墓(19基)
初代将軍家康・二代将軍秀忠に仕えた重臣の墓碑。当初は東照宮奥の院にあったが、寛永13年(1636)、家康の21神忌の際に、仏岩谷にあった慈眼大師天海大僧正創建の妙道院に移されその後、現在地にある。
思わず手を合わせた。
武士道には、無益な殺生はせぬとある。この墓は永年、祀っていかないと怨念が事象を引き起こすだろう。